お留守番とお見送り

空も　夏から秋へ向かいつつ

春に蒔いた種が

ようやく少しずつ芽を出してきた

根っこも　少しは出てきただろうか



先の台風で

植え替えたばかりの　ひと抱えもある

ミルクブッシュが　忽然と消えていた


まるで　はじめから何もなかったかのように

土と鉢だけが　そっくりそのままで

あれま　と思いつつも

どのように空を飛んだのだろうか

想像したら

それは　なんだか嬉しそうな光景だったので

少しだけ　羨ましくもなった




あのたくさんの緑の小さな手が

プロペラのようになったのかも知れない


子供の頃は

よく竹ぼうきにまたがってみたりもしたけれど

やはり自分だけでは空をとべない私達は

どうにかして　飛ぼうとする




その夢叶って

巨大な翼で　海を渡ることができるようになったけど

やっぱり　本当は遠いところなんだと

島にいると　時々ふと思う

今もそう

早く帰ってこないかなと

首が天井まで届きそうだ





お留守番と　お見送りは苦手だけれど

来週は『旅をするパン』第1弾

背中を押してくれるあの人と

背中を追いかけるあの人へ

パンのお手紙　贈ります